免疫チェックポイント阻害剤 (nivolmab:商品名オプジーボ)


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免疫チェックポイント阻害剤を使用した治療とは

現在、わが国の死因の30%はがんといわれています。標準治療が無効となっても他の治療に関心を持つ方が増加していて、免疫療法への期待が高まっています。
こうした中、Science誌は2013年のbreakthrough of the yearにcancer immunotherapyを選び、抗PD-1抗体製剤の開発と臨床応用について「がん研究や治療にとってターニングポイントになる」と論評しました1)。また、Nature誌は2014年の注目すべき科学的話題の一つに、抗PD-1抗体製剤;nivolumabとlambrolizumabを取りあげました2)。これらはがんの免疫逃避機構を標的とした免疫療法剤で、免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれています。
がんと免疫については1960年代に「がん細胞は発生過程でほとんどが宿主の免疫により監視され排除される」という免疫監視機構(図①)が提唱されました3)。しかし現実には、がんは増殖し、顕在化してきます。この説明として、2002年にがん免疫編集機構が示されました4)。これは、がん細胞は発生段階で宿主免疫に排除される「排除相(免疫監視)」から、遺伝子の変異や不安定性などで排除されないが増殖もできない「平衡相」となり、最終的にがん細胞が免疫抑制環境を作り出して免疫の監視から逃れる「逃避相(がん免疫逃避機構) (図②)」へと免疫環境を編集するという学説です5)
現在、このがん免疫逃避機構を標的とする免疫チェックポイント阻害剤が開発され、それを用いた治療が期待されています。当クリニックで治療に用いる免疫チェックポイント阻害剤はnivolmab(商品名:オプジーボ)です。このオプジーボは、免疫逃避機構の中心因子であり、T細胞の活性を抑制するPD-1/PD-L1経路を阻害する薬です (図③)。

1.オプジーボの作用機序

  • 免疫監視機構
  • 免疫逃避機構
  • オプジーボ効果
  • ①排除相
    T細胞は、抗原提示しているがん細胞を認識し、活性化、増殖してがん細胞を攻撃して細胞傷害活性を発揮する(免疫監視機構)。
    ②逃避相
    がん細胞は、PD-1の受容体であるPDL-1を発現し、活性化されたT細胞に発現するPD-1と結合し(PD-1/PD-L1経路)、T細胞への活性化を抑制する(免疫逃避機構)。
    ③オプジーボの効果
    オプジーボは、ヒトPD-1に対する抗体製剤で、PD-1とPDL-1との 結合を阻害し、T細胞への活性化抑制シグナルを阻害する。その結果、活性化T細胞の 細胞傷害活性は維持・増強され、宿主免疫は増強して腫瘍増殖は抑制される6)

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2.オプジーボ (Nivolumab)の臨床試験成績

2010年が最初の報告で、固形がん39例による第Ⅰ相試験で安全性と有効性(奏効率 7.7%)が示されました7)。続いて2012年、非小細胞肺癌、悪性黒色腫、腎細胞癌の計296例による第Ⅰ相試験で、平均奏効率は各18%、28%、27%と報告されました8)
悪性黒色腫:未治療進行418例を対象に、ダカルバジンを対照とした第Ⅲ相試験で、ニボルマブ群は無増悪生存期間、1生率とも有意に延長していました9)。イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)既治療進行167例を対象に、化学療法を対照とした第Ⅲ相試験の中間解析では、ニボルマブ群の奏効率は有意に良好でした10)
非小細胞肺癌:既治療進行扁平上皮肺癌272例を対象に、ドセタキセル(商品名:タキソテール)を対照とした第Ⅲ相試験で、ニボルマブ群は無増悪生存期間、全生存期間とも有意に延長していました11)。非扁平上皮肺癌582例を対象に、ドセタキセルを対照とした第Ⅲ相試験の中間解析では、無増悪生存期間は同等であったが、全生存期間はニボルマブ群で有意に延長していました12)
以上の成績を基に、2014年には日米両国で悪性黒色腫に、2015年には米国で扁平上皮肺癌、わが国で非小細胞肺癌に対し薬事承認されています。
この他、腎細胞癌13,14)、卵巣癌15)でも有効性が報告され、大腸癌では、第Ⅰ相試験で20例が登録され1例に完全奏効を認めました8)16,17)。この1例はマイクロサテライト不安定性(MSI-high)がみられ、抗PD-1抗体製剤のMSI- high大腸癌への有効性が示唆されました。その後、2015年に同じ抗PD-1抗体製剤であるペンブロリズマブ(商品名:キートルーダ)のMSI-high症例への有用性が第Ⅱ相試験として報告されました17)

3.オプジーボを用いた治療の効果発現メカニズム

がん免疫療法は、今までほとんどがエフェクター細胞の細胞傷害活性を高めること(宿主免疫のアクセルを踏む)を目指したものでした。一方本治療は、免疫チェックポイント阻害剤により、いかにしてエフェクター細胞の活性を抑制されないようにするか…(免疫抑制というブレーキを緩める)を意図した極めて新しい治療法です。当クリニックでの治療に用いる免疫チェックポイント阻害剤は、上記の成績からオプジーボを選択していますが、薬事承認されたもの以外への治療効果は確立されていません。それらに対しては試験的な治療といわざるをえませんが、このメカニズムにより細胞傷害活性が維持・増強され、宿主免疫の増強による抗腫瘍効果が期待されると考えられます。

4.治療対象となる方

原則として他の医療機関で治療を受けており、患者さんご本人が本治療を希望し、その医療機関より紹介された患者さんを対象としています。その紹介医療機関との十分な情報交換の後、本人の希望や意向も含めて治療適応を決定し、患者さんの自由意志による同意を得た上で治療を開始します。
なお、この治療は、原則として、紹介医療機関協力のもとに実施します。
※治療開始にあたっては、担当医師より十分に説明をさせて頂きます。不安な点などがありましたら、お申し出下さい。

5.治療方法と効果判定について

現在、保険適用となっている、悪性黒色腫・非小細胞肺がんはそれぞれ体重1kgあたり2mg・3mgを投与します(体重60kgの悪性黒色腫の患者さんであれば120mgが1回の使用量です)。これを2週間~3週間に1回の間隔で4回~6回施行します。
当クリニックでは、患者さんの診察を行った上で、原則として1回当り40mg、これを2週間~3週間の間隔で4回~6回施行します。
治療を開始する前に、紹介医療機関にて詳細な血液検査と画像検査を行って頂き、そのデータを担当医に提供して頂きます。治療期間中は、紹介医療機関にて適宜、血液検査・画像検査を行って頂き、効果判定に使用します。

6.同意の取得について

本治療は、全く新しい免疫療法で、その有効性や安全性は、薬事承認されたもの以外は確立していません。治療に先立ち、担当医師はそのことも含め、対象患者さんに対して詳しい説明を行います。すなわち、同意説明文書や資料を用いて本治療の具体的内容や予測しうる有害事象や副作用、料金体系などを説明し、書面にて患者さんご本人の意志による同意を取得します。

7.副作用について

オプジーボは、2014年に日米両国で悪性黒色腫、2015年に米国で扁平上皮肺癌、わが国で非小細胞肺癌に対し薬事承認され、その他多くのがんで臨床試験が行われています。安全に使用されていますが、本剤の特徴として、免疫賦活化により自己免疫疾患に似た免疫関連有害事象や副作用がみられます。さらに、新しい薬剤のため未知の副作用も危惧され、安全性は十分確立していません。

オプジーボの副作用
(1) 臨床試験の報告
  • ● 非小細胞肺癌、悪性黒色腫、腎細胞癌の計296例による第Ⅰ相試験で、発疹(12%)、下痢(11%)、掻痒(9%)などがみられています。Grade3・4の重症例は、肺炎、下痢、肝障害が各1%報告され、肺炎での死亡が3名みられました8)

  • ● 根治切除不能な悪性黒色腫に対する国内第Ⅱ相試験では、35例中30例(86%)が認められました。主なものは掻痒(31%)、遊離トリヨードチロニン減少(23%)、TSH増加(20%)、白班(17%)、白血球数減少(17%)、遊離サイロキシン減少(17%)、甲状腺機能低下(14%)、疲労(14%)、AST増加(14%)、Al-P増加(14%)、CK増加(14%)、LDH増加(14%)、CRP増加(14%)、リンパ球数減少(14%)、下痢(11%)、ALT増加(11%)、γ-GTP増加(11%)、好酸球数増加(11%)、サーファクタントプロテイン増加(11%)、皮膚色素減少(11%)でした(添付文書による)。

  • ● 切除不能な進行・再発非小細胞肺癌に対する国内第Ⅱ相試験では、111例中88例(79%)にみられました。主なものは発熱(14%)、倦怠感(14%)、食欲減退(14%)、発疹(14%)でした(添付文書による)。

(2) 重大な副作用

間質性肺炎、重症筋無力症、筋炎、大腸炎、重度下痢、1型糖尿病、肝機能障害、肝炎、甲状腺機能障害、神経障害、腎障害、副腎障害、脳炎、重度皮膚障害、静脈血栓塞栓症、infusion reaction(発熱、悪寒、掻痒、発疹、高血圧、低血圧、頻脈、呼吸困難、過敏症など)などが見られます(添付文書による)。

(3) 副作用への対応

副作用が発現した場合は、直ちに適切な処置を行います。また、すべての副作用や有害事象について、紹介医療機関と協力して最善の処置、治療を行い、経過を観察します。

8.投与の中止・延期・再開および終了

本治療は、患者さんの申し出により中止および終了することができます。また、担当医師の判断で中止する場合もあります。なお、患者さんからの申し出があり、かつ担当医師により投与の再開が可能と判断された場合は、投与を再開することが可能です。

9.治療費用について

前述の通り、本治療に用いるオプジーボは、現在、日本国内では、悪性黒色腫と非小細胞肺癌にのみ保険適用となっており、その他のがんに対しての治療承認が下りていません。そのため、日本国内での入手は難しいのが現状です。(当クリニックで実施する、オプジーボを用いた治療は、すべて自費診療となります。)
当クリニックは、治療を希望する患者さんを診察した上で、治療の意志を確認し、担当医師によって、海外から輸入して治療に使用します。 この様な経緯もあり、下記の点をご理解頂きたく考えます。

  1. ①本治療に対して、患者さんから同意を取得した段階で、輸入手続きを開始します。そのため、費用の支払いは治療計画に示された薬品の数量分を一括にてお支払い頂きます。なお、輸入手続き開始後のキャンセル、数量の変更は出来ませんので、予めご了承下さい。また、上記の治療中止の場合も、③の理由により返金は出来ませんので、予めご了解下さい。

  2. ②輸入手続き開始から、薬品の到着には、3~4週間を要します。季節的な要因、輸入国(ドイツ)や輸入経路で発生する不測の事態等によって、到着までの期間が延びる場合がありますのでご了承下さい。

  3. ③薬品の輸入に際しては、関東信越厚生局へ薬監証明と共に使用法の誓約書を提出します。そのため、輸入した薬品は治療計画以外には使用することが出来ませんので、ご了承下さい。

<文献>
1. Couzin-Frankel J, Science 346: 1432-33, 2013.
2. Noorden RV, Nature 505: 13, 2014.
3. Burnet F, Pergamon Press, Oxford, 1970.
4. Dunn GP et al, Nat Immunol 3: 991-8, 2002.
5. Schreiber RD et al, Science 331: 1565-70, 2011.
6. Wang C et al, Cancer Immunol Res 2:846, 2014.
7. Brahmer JR, et al, J Clin Oncol 28: 3167-75, 2010.
8. Topalian SL et al, N Engl J Med 366: 2443-54, 2012.
9. Robert C et al, N Engl J Med 372: 320-30, 2015.
10. Weber JS et al, Lancet Oncol 16: 375-84, 2015.
11. Brahmer J et al, N Engl J Med 373: 123-35, 2015.
12. 2015 ASCO Annual Meeting. Abstract LBA109.
13. 2015 ASCO Annual Meeting. Abstract 4553.
14. 2014 ASCO Annual Meeting. Abstract 5009.
15. Hamanishi J et al, J Clin Oncol 33: Abstract 5510, 2015.
16. Brahmer J et al, J Clin Oncol 28: 3167-75, 2010.
17. Lipson EJ, et al, Clin Cancer Res 19: 462-8, 2013.
18. Le DT, et al, N Eng J Med 372: 2509-20, 2015

オプジーボ治療料金表(税込)

相談料(初診)10,800円
オプジーボ費用 輸入単位6本 1,944,000円
4本 1,296,000円
オプジーボ投与費用1回 5,400円

例1)6回投与 の場合 = 1,987,200円
10,800円(初診料)+ 1,944,000円(オプジーボ)+ 32,400円(投与費用6回)

例2)4回投与 の場合 = 1,328,400円
 10,800円(初診料)+ 1,296,000円(オプジーボ)+ 21,600円(投与費用4回)

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TEL:03-5157-2020


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